発信は相手目線
そんな彼女の前職は、意外にも公務員。小学校で管理栄養士として日々子どもたちのために栄養管理の仕事を行っていた。公務員からSNSマーケターという異業種への転業を果たした経緯を知りたくて今回取材を申し込んだのだが、さらに自分の好きを仕事に取り入れる方法を取材を通して学ばせてもらった。
前職である管理栄養士の仕事はどうやって選んだのだろうか?
「子どもが好きだったので、管理栄養士として働くなら保育園か小学校がいいなと思いました」
高校時代、特に何かになりたいという願望はなく、国家資格として高校の恩師に勧められたのが管理栄養士でした。そのまま管理栄養士の道を目指し、大学に進学しました。子どもが好きだったため、管理栄養士として働くなら保育園か小学校がいいと思い、小学校の栄養教諭、いわゆる給食の先生として公務員枠で就職しました。
小学校の管理栄養士の仕事は、主に事務作業がメインで、給食の献立作成、食材の発注や計算、衛生管理など、パソコンを使う作業がとても多く、細かいです。普段子どもたちがなにげなく食べている給食の献立作りも、まずは食材選びからはじまります。A社、B社、C社の食材を試食し、値段も考慮し決めていきます。自治体によって違いますが、私が勤めていた学校は、栄養教諭は一人だけでした。
こういった細かい献立づくりや事務作業以外にも、実際に授業をしたり、給食時間に指導をしたり、コロナ禍になる前は一緒に子どもたちとごはんも食べたりしていました。
そんな仕事に追われる日々でも、子どもたちと過ごす時間は楽しかったです。途中産休・育休は挟みましたが実働8年、小学校で働きました。
そんな中、ある女性との出会いがきっかけで、iPadで仕事の幅が広がることに気づいた彼女。
「amity_senseiのオンラインサロンに出会って人生が変わりました」
もともとは、雑誌を読むためだけにiPadを購入しました。産休・育休のタイミングで、せっかくならもう少しiPadを使いこなしたいと思った時に、iPad YouTuberのamity_senseiと出会いました。amity_senseiが開くオンラインサロンに参加することで、iPadでいろいろな事ができるということを知ったんです。子育ても大変でしたが、週1回のiPadオンライン授業で、何人かの受講生とともに質問があれば書きこんだり、こんな事ができるんだと学んだり、最初は本当に楽しみながらの趣味でした。
育休明けで仕事復帰した時に、iPadを使うと仕事の効率が良かったんです。いつもいっぱい資料を持っていたけどすべてペーパーレスでiPadに入れることができ、使い勝手もいいし、仕事も早く終わるし。iPadを仕事でもいつも持ち歩くことになったら、それが結構楽しくて、でもまさか仕事になるとは思いませんでした。
管理栄養士として楽しみながらiPadを活用し働く彼女が、SNSマーケターとして転業したきっかけはなんだったのだろう?
「自分でもできるんじゃないかなと思って……」
管理栄養士の仕事は時間の拘束が長いんです。残業も以前はしていたんですが、子どもの保育園への送り迎えがあって、ますます仕事の時間がなくなるし。
子どもが体調不良になると休むの申し訳ないって思ったり。栄養教諭は自分一人だけで、うまく周りに頼ることができずに辛かったです。育児と仕事の両立がうまくできずに辛く、違う働き方はないのだろうか、そればかり考えるようになって。ただ公務員を辞めた後何をしたらいいかわかりませんでした。
そんな時、職場の同僚にiPadの使い方を教えてとよく聞かれていたので、自分も好きだし、ちょっとやってみようかなと、iPad関連のSNS投稿をはじめました。それが想像以上に楽しくて、フォロワーさんから質問され、返信すると、直接感謝されるのが嬉しかったです。
公務員を辞めたのは、私自身、育児と仕事の両立がうまくできなかったからですが、いろいろiPadやSNS投稿のことなどを学んでいたので、自分でもできるんじゃないかなと思って、2022年の3月に公務員を退職し、2ヵ月後の5月にSNSマーケターとして開業しました。
開業してもなお学び続ける姿勢、フォロワーとのやり取りに喜びを感じ、相手目線で発信ができるのは、彼女の天性であるが、それが人を惹きつけ、フォロワーから支持される理由のひとつだと感じる。そんな彼女の今の生活について尋ねてみた。
「会いたい時に会いたい人にパッと会いに行けるのはいいですね」
フリーランスになってamity_senseiにも会いにいったんです。京都にいるんですけど。しかもゴールデンウイーク明けにみんなが今から仕事っていう時に行ったんですよ。それがなんだか嬉しくて。会いたい時に会いたい人にパッと会いに行けるのはいいですね。
今の働き方が好きなので、今みたいな働き方をずっと続けたいです。定年がないのもいいですね。
資格をとったらその資格を生かして何かした方がいいかなと思いがちになる。しかし彼女は自分の好きと社会の需要という視点から自分の仕事に結びつけ、見事に楽しい生活を手に入れている。
なんとなく始めたことでも、楽しくて追求していくと仕事に繋がるという働き方もあるのだと教えてくれた。