インタビューNo.26

みんなの働き方

自分自神、我儘(私の)ままに


皆さんは「弁護士」と言えば、どんなイメージが思い浮かぶでしょうか?普段の生活ではあまり接する機会が少なく、近寄りがたいが、困った時に助けてくれるといったイメージをもつ方も多いのではないでしょうか。今回ご紹介する井澤わかなさんは、嗅覚反応分析士インストラクターやアロマセラピスト他、10種類近くの肩書きを持つとてもユニークな弁護士さんです。近寄りがたいとは正反対でとても親しみやすい彼女の働き方をうかがいました。

 

数々の資格をもつ彼女の目指す弁護士像とは?

私が目指す弁護士としての関わり方は、どちらかというと物事を解決してあげることではなく、相談者自身が解決する、もしくは気づくところにもっていきたいと思っています。

もちろん法的な手続きはサポートしますが、問題を生じさせている相談者の根柢の考え方や思考の癖があったりするので、相談者自身が変わらないとまた別の形で別の問題がでると気づいて帰ってもらうのが理想です。

 

CFP®(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)、福祉住環境コーディネーター、シックハウス診断士、環境アレルギーアドバイザー、嗅覚反応分析士インストラクター、AEAJ認定アロマセラピスト、漢方・薬膳認定講師他、数々の資格を取得していますが、それはなぜですか?

色んな資格を取っているので、資格マニアみたいに思われる方もいるのですが、私の中では「人の暮らし」に役立ちそうなもので、自分の関心があるものを取っています。

また、弁護士業においては、相談者の分析にも役立っています。例えば、話を聞いてこの方はFPのこういう視点が必要よねと思って提案することもあります。もちろん相談者が求めていない場合は、弁護士以外の切り口を積極的には提供しないです。

 

そもそも弁護士を目指すきっかけはあったのですか?

実は弁護士は、子どもの頃からの夢でした。

推理小説が好きで探偵になりたいと思った事もありましたし、通訳など海外に関係する仕事も憧れていました。

ですから、小さい頃の夢は叶ったと言えば叶いました。

 

社会人になり、すぐに弁護士になったのですか?

弁護士の夢はあったものの、大卒後は公務員を目指したり、医学部の実験助手のバイトをしたりしました。

渡米してアメリカの中学校で日本文化を紹介する授業を自分でプレゼンして獲得するボランティアプログラムも経験しました。

帰国後に営業職に就きましたが、その頃から、やはり夢だった弁護士になるために司法試験に挑戦しようと思いはじめました。ただ、営業職は、土日なく働いていたため体力的に余裕がなかったんです。

転職を決意したタイミングで、ちょうど英語を必要とする事件のパラリーガル(法律事務職員)を募集していたのが、前職でお世話になった「宇都宮法律事務所」でした。

 

パラリーガルをしながら弁護士を目指した彼女。しかし、弁護士になるまでに10年以上かかったそうです。諦めず夢を果たせたその軌跡とは?

宇都宮法律事務所に入社後まもなく、母が怪我をして、高次脳機能障害の様になったんです。

それから葛藤の日々が続きました。脳機能障害の影響で母との会話はままならず、ストレスがたまる一方でした。自分が病んでしまうと思い、FPやアロマなどちょっとでも前向きになれる事をその時は頑張っていました。そうでもしないとちょっとヤバいと思っていました。

そんな中で司法試験の受験勉強もしていましたが途中、中だるみはしていたと思います。ただ、母がその状態で仕事を辞めてロースクールとかはありえないと思いました。

普通の企業に就職しようかなと考えた事もありましたが、弁護士が自分には向かないとは思えず、宇都宮先生も向かないとは言わなかったんです。それが励みになりました。

 

資格取得の学びが彼女を救いました。現在でも毎年極力新しい分野を勉強したいそうですが、その意欲はどこからくるのでしょうか?

私は、ひとつの事をずっとというのは絶対できない人なんです。

気に入ったらする、色んなことをあれこれつまみ食いしたい人です。

 

ひとつの事をずっとが難しいという彼女に、弁護士という仕事はずっと続けられている理由についてうかがってみました。

弁護士という仕事は、士業の中でも業界と業界のテリトリーを一番超えやすい業種ではあると思っています。

また職業柄、相手と交渉する場面が多く、色んな方と関わって議論することも自分の本質に合っていると思います。弁護士だけやっていると法律的な話にしかならないですが、私の場合、FPやアロマなども掛け合わせることによってさまざまな事が思い浮かびますし、提案も出来ます。

そういう意味では、相互作用というか、法律やその他の分野が両方混ざっている働き方だから続けられているという感じですね。

 

相談者は若い世代が多いという彼女に、次世代に伝えたい働き方をうかがいました。

時代はだいぶ変わったと思います。

各々が自分の本心に従った選択で生きていただけるといいなと思います。親が言うから、先輩が言うからとかじゃなくて。

ただ、自分の本心って意外と自分が気づきにくかったり、これが自分の本心だと思い込んだりする時もあります。そこは常に私も、「これって本当に私の望みですか?」と、選択の時に自問自答したりします。日々の細かな選択のときにまではしていませんが、自分に従う感じです。そうやって生きていっていただけるといいなと思います。

 

「自分自神、我儘(私の)ままに」という言葉の意味を教えてください。

「自分神様」と言ったりするんですけど。

内なる声に従う的なところで、
「自分自身が神様のような尊い存在なので、その声に従って動いていけばいい」という感じです。

 

 

ご家族の怪我がきっかけで、10年以上も葛藤の日々を過ごしてきた井澤わかなさん。当時は、不安や悩みに立ち向かうべく、アロマなどの学びに没頭し、その学びの中で、考え方が徐々に変わっていったそうです。

「今は大きな悩みはなくて、悩みが出てもどのみちプラスに転じるための必要なピースだと思えます」と、にこやかに話してくださいました。学びは考え方を変えるチャンスや救いになるということを彼女の生き方が証明してくれたように感じました。

中国古典にある「『運』は動より生ず(『運』は動くことで生じる)」とあるように、動くことで運がやってきます。彼女のように、私もこれからもずっと動き(学び)続け、発信していこうと思いました。

 

この記事を書いた人
Kumi

私らしく働くってなんだろうを追求中!福岡で働く現代の女性たちを取材し発信していきます!

Instagramをチェック
みんなの働き方
スポンサーリンク
シェアする
Instagramをチェック
私らしい働き方をみつけよう
タイトルとURLをコピーしました