インタビューNo.34

みんなの働き方

一生勉強!一生感動!


14年間のキャリアブレイク(一定期間の離職・休息)を経て、2024年1月からキャリアをリスタートした山下妙子さん。現在、国際薬膳調理師の資格を生かした仕事に就き、日々楽しみながら業務に励んでいる。そんな彼女のリスタートまでの人生の軌跡を辿った。

山下妙子さんInstagramはこちらから

 

学生時代に目指していた仕事は?

「人の心を理解したい!と、大学の心理学科に進みました。

でも実際に学び始めると、私、すごく共感力が高くて、相談者の喜怒哀楽に感情移入し過ぎてしまうことに気づいたんです。心理士になるのは難しいなと判断しました」

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人とコミュニケーションを取ることが好きだった山下さん。視点を変え、大学卒業後は多くの人と関わり、頑張る人達の生き様や魅力を伝えたいとアナウンサーの道に進む。

「時間が不規則だったり、重い機材を持って取材に出たりと体力勝負な仕事でもありましたが、取材をする時はいつも“相手に寄り添い、思いを引き出すこと”を大切にしていました」

 

 

テレビ局で3年勤めたのち、結婚を機にフリーに転身。仕事の幅を広げ、着実にキャリアを積んでいた頃、30歳を目前に、パートナーの仕事の都合で、タイのバンコクに移住することになり、離職する。

「年齢的にも子どもを考える時期で、妊活にも取り組みましたが、なかなか授からない。期待と失望の繰り返しで、人生の壁にぶつかった感じでした。

それでも、今この瞬間は今しかない!と心の空白を埋めるように動き回っていた時に友人が、薬膳って面白そうだよって教えてくれたんです。

すぐに日本の通信教育を申し込みましたが、当時はオンラインの授業もなく、海外にいながらの学習は続きませんでした」

 

 

バンコクで4年間過ごした後、日本へ帰国した山下さん。日本でも妊活を始めると、安心したこともあり、ようやく子宝に恵まれる。

「結婚して10年目にやっと授かった命だから元気で産みたいと思いました。

赤ちゃんを健康に育てるために大事なことってなんだろう?自分にできることってなんだろう?と考え、やはり身体が資本であり、食事と生活習慣、睡眠、運動、心の持ち方が大事だなと。

頭の片隅にずっとあった未病先防の薬膳をもう一度ちゃんと学んでみたいと思ったんです。

国際資格の取得には、数百時間の講義を受けて8科目の試験にパスしないといけないのですが、子育ての合間を縫って夢中で勉強し、2022年に合格することができました」

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国際資格を取った後も、漢方や中医美容、中医婦人科、更年期のケアなど常に学び続けている山下さん。

「自分の生活では薬膳を取り入れ、自分と家族の健康管理や、不調の改善を実感できるようになり、薬膳を通して未病先防の大切さをもっと広げたい、誰かの助けになりたいと思いはじめました。

でも、広げる手段がわからずにいたんです。それで、福岡女子大が行っている再就職支援プログラム(※以下『プログラム』という)を受講しました。

自分を深堀してアウトプットする時間を重ねることで、記憶の深海に潜りこみ、これまでの経験の中に宝を発見した感覚を覚えました。今までの経験が繋がった感じでした」

 

女性のためのウェルカムバック支援プログラム|リカレント教育|女性リーダーシップセンター|公立大学法人 福岡女子大学
文部科学省の採択を受けた社会人女性のための「高度人材養成のための社会人学び直しプログラム」ワークショップや実習、フィールドリサーチを通じ、実践的に学んでいきます。

 

2024年度
女性のためのウェルカムバック支援プログラム
受講期間:10月~12月

 

 

プログラムで自分と向き合い、集中できる環境で仲間と切磋琢磨した3ヵ月。それも終盤に近付き、今後の方針で悩む山下さんにプログラムの仲間が就職の後押しをしてくれたという。

「プログラムの受講期間中に、薬膳の食材を扱っている漢方薬局さんや、販売店に出向いてスタッフの方とお話をする機会があったんです。

店舗で薬膳の知識を使ってお客さんの役に立てる仕事って楽しいだろうなと思いました。

ただ、育児中で、働いたとしても休みがちになりそうだし、どうしようかと悩んでいたら『やってみたらいいよ。とりあえず、エントリーして受けてみようよ』と仲間が背中を押してくれたんです。

履歴書を送ると、すぐにオンライン面接になり、漢方のライフスタイルブランドの会社で販売員として仕事復帰を果たせました」

 

 

今、山下さんにとって働くことの意味とは?

自分の経験を生かして人の役に立つことだと思っています。

自分が今まで悩んだことにも価値があって、それをどうやって乗り越えたかが誰かのヒントになるかもしれない。

私の場合は、薬膳の学びから不調の原因を探り解決法を実践することで、体調を整えやすくなりました。漠然とした不安にも振り回されにくくなりました。

その経験をもとに、薬膳をわかりやすく噛み砕いて、病気になる前にできること、食・養生の大切さを伝えたいと思っています。

特に、自分のことを後回しにしてしまいがちなお母さんたちに伝えて、自分らしく健康に生きられるお手伝いができたらと思います。今後、独立や起業も視野にいれて、薬膳に関わる仕事の幅を広げていきたいと思っています」

 

 

共感力が高い山下さんに、平常心で過ごす秘訣を聞いてみた。

「一つは、自分の好きなものを知っておくことです。自分の好きな香りを嗅いだり、好きな色のお花を買いに行ったり、気持ちを切り替える引き出しをいっぱい持つことですね。

もう一つは、“こころの白衣”を着ることです。

以前、中医師の先生から『白衣を着ることで、医師としての責任感とプライドが保たれるので患者さんの感情に影響されることはあまりない』と聞いて、私も心がけるようになりました。

相手の感情に巻き込まれそうな時は、心の中で人は人、自分は自分と唱えると、一線引けて、感情に左右されずに済みます」

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仕事復帰しての感想は?

「楽しいです。

何が楽しいのかなって思った時に、自分の好きなことに集中できること、人の役に立てることが楽しいなと思います。

販売員として不特定多数のお客様と接することは刺激にもなりますし、薬膳の知識を使って商品を案内する時の言葉選びや間合いの取り方、ディスプレイ演出に至るまですべて新鮮です。

仕事復帰の第一歩として、本当に恵まれた環境だと思います

 

 

 

近年、キャリアに関して、ブランクではなく、ブレイクという考え方が社会に浸透してきた。ブランク(空白)とブレイク(休息)。どちらも無職である期間を指すが、後者はキャリアを見つめ直してリスタートする学びの期間であると捉える。

山下さんもブレイク中に自分ができることは何かを考え、学びを継続してきた。だからこそ、リスタートした後も楽しく働けている。

病気、出産、育児、介護などキャリアの中断は、誰にでも訪れる。その期間に悩んだこと、感じたことは無駄ではなく、あなたの経験が誰かの救いとなる。仕事が楽しい自分の経験が人の役に立っているがセットになった時、自分らしい働き方ができていると私は思う。

 

 

この記事を書いた人
Kumi

私らしく働くってなんだろうを追求中!福岡で働く現代の女性たちを取材し発信していきます!

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