「この人、素敵だな」と思う人には、ある共通点があります。
それは、いつも笑っている人ではなく、怒りや哀しみを上手に扱える人だということです。
みな誰しも、腹が立つこともあれば、落ち込むこともあります。
仕事で理不尽なことがあったり、家庭で思うようにいかなかったり、頑張っているのに報われないと感じる日もあります。
問題なのは、「怒ること」や「哀しむこと」ではありません。
その感情をどう扱うかだと私は思っています。
怒りや哀しみをそのまま周囲にぶつけてしまうと、本人は一時的にスッキリするかもしれません。でも、その感情を受け取る周りの人はどうでしょうか。
職場の空気は重くなり、「今日は機嫌が悪そうだから話しかけないでおこう」と気を遣わせてしまう。家庭でも、家族が顔色をうかがうようになる。
そんなことが続けば、少しずつ人は疲弊し、やがて距離を置くようになります。
実は、これは昔の私でした。
正社員としてキャリアアップを目指していた頃、「仕事はこうあるべき」という強い正義感がありました。間違っていると思えば正論をぶつけ、自分では「会社を良くしたい」という思いだったのですが、今振り返ると、周りから見ればかなり息苦しかったと思います。
今でいう「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」のような雰囲気も出していたかもしれません。
当時の私は、「こんなに頑張っている」という気持ちが強く、自分の正しさを優先していました。相手がどう感じるかまで考える余裕はありませんでした。
だからこそ今、思うのです。
怒りや哀しみは、押し殺す必要はないにしろ、そのまま放出するのとも違うということ。
では、どう扱えばいいのでしょうか。
私なりに大切だと思うことを3つ挙げてみました。
① 「私は今、怒っているんだ」「哀しい」と認めること
感情を否定せず、「私は今、怒っている」「哀しい」と認識するだけでも、気持ちは少し落ち着きます。「こんなことで怒る私はダメだ」と責める必要はないと思っています。
まずは自分の感情に気づき、受け止めてあげることが大切です。
② 相手にぶつける前に、まず書き出して、時間を置くこと
怒りや哀しみを感じた時は、その瞬間の気持ちを紙やスマホのメモに書き出してみてください。
「こんなことを言われて腹が立った」
「この状況がとても虚しい」
誰にも見せる必要はありません。感情をメモするだけで、頭の中が整理されます。
もし相手に伝える必要があるなら、書き出したあとに少し時間を置いてから伝えることをおすすめします。
時間を置くことで感情の勢いが落ち着き、「相手を責める言葉」ではなく、「自分の気持ちを伝える言葉」に変わりやすくなります。
逆におすすめしないのは、その時の感情のままSNSへ投稿することです。
匿名のつもりでも、読む人によっては不快に感じたり、知り合いが見ている可能性もあります。一度投稿したものは、自分の手を離れて広がってしまうこともあります。
自分を守るためにも、一度時間を置いて気持ちを整理してから投稿することをおすすめします。
もし「この内容を投稿しても大丈夫かな」と迷ったら、AIに相談するのも一つの方法です。
「この文章は相手を傷つける表現になっていない?」
「もっと穏やかに伝えるにはどう書けばいい?」
こんなふうにAIを壁打ち相手として使うことで、自分自身も冷静に出来事を見つめ直せるようになります。
③ 「この経験から私は何を学べるだろう」と問いかけること
怒りや哀しみは、自分が大切にしている価値観を教えてくれるサインでもあります。
「なぜ私はこんなに腹が立ったんだろう」
「何が哀しかったんだろう」
そう問いかけてみると、自分が本当に大切にしたいものが見えてきます。
特に「怒り」は一時的に高いエネルギーを持ちますが、時間が経つと弱まることが多いです。「怒り」のエネルギーが弱まることで、その奥に隠れていた「悔しさ、惨めさ、情けなさ」が顔を出すこともあります。
感情を敵にするのではなく、それらの感情を自分を知るヒントとして受け取れるようになると、同じ出来事でも成長のきっかけになります。
人の魅力は、嬉しい時や楽しい時よりも、苦しい時に表れるのかもしれません。
怒りや哀しみは誰にでもあります。
でも、その感情をどう扱うかで、人との信頼関係も、自分自身の生き方も少しずつ変わっていきます。
だから私は、「喜怒哀楽」の中でも、とくに「怒」と「哀」の扱い方が、その人をかたちづくるのだと思っています。
ぜひ、あなたの周りの人の「怒」と「哀」の取り扱い方を観察してみてください。
感情に振り回されている人もいれば、感情を上手に受け止め、自分の力に変えている人もいます。
そして、その違いはきっと、その人の周りに集まる人や、築いている信頼関係にも表れているはずです。
もしかすると、一番観察してほしい相手は、「昨日までの自分」なのかもしれません。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

